フェアアイルセーター工房「ten old」誕生秘話④
さて、我がフェアアイルセーター工房「ten old」で使っているのは、フェアアイルセーターの伝統に忠実に、「シェトランド諸島で暮らしているシェトランド羊」の毛糸。
シェトランド羊の毛。いろんな色の毛があり、自然に抜け落ち、島の原野を転がっていく
英国最北のシェトランド諸島に暮らすシェトランド羊は、ヒースの原野で自由に生きる。
年に一度集められて毛を刈られるけど、それ以外は厳しい自然のなかで気ままにサバイバルしている。家畜というよりほとんど野生動物で、数千年にわたってシェトランドの気候風土に適応してきた。
ところでシェトランド諸島といえば海鳥の一大営巣地として有名。
夏の間、この地で繁殖し子育てするために無数の海鳥がこの島々に集まる。
その海鳥の一つがパフィン(和名:ツノメドリ)。昼間は海上でイカナゴなどを捕り、夕暮れとともに島の大地へと戻ってくる。巣は、大地に開いた横穴だ(使われなくなった野ウサギの巣穴を借用)。
さて、このパフィンとシェトランド羊の関係はこんな感じだ。
シェトランド羊が土を踏み固めることで土砂崩れが起き難くなる
↓
地中を巣穴にするパフィンの繁殖地が守られる
↓
そしてパフィンの落とす糞が養分となり育った牧草をシェトランド羊が食べる。
シェトランド羊がさまよう原野は、夕暮れ時になるとパフィンだらけに。フェア島にて
羊の放牧というと、一般的には本来の自然生態系を壊して牧野に変えて・・・というものだけど、シェトランド羊の場合、その存在はシェトランド諸島の自然生態系の一部。
一般的な放牧羊からの毛糸は、いわば「自然からの略奪」に近いものだけど、
シェトランド羊からの毛糸は「自然からの恵み」なのだ。
「大自然からの恵み」といえる服なんて、今の世界ではそんなに多くないし、絶滅寸前(例えば北方の民族が着る、カリブーやアザラシの毛皮のアノラックとか)なんだよな―


























最近のコメント