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2010年10月26日 (火)

20年ぶりのキャンプサイト

オリーブの取材で高松港から小豆島へ。
毎度のことながら、フェリー料金(車一台人一人)の高さに慄く。
普通に貧乏な人は、島巡りの旅なんて無理ではないか・・・

20年前の真夏、普通にビンボーだった(今でもだけど)僕は、カヤックを漕いで高松から小豆島へ渡ったことがある。
一人だけで。
小豆島へは航路を横断することになる。
その航路が、大型船で混雑することを知ったのは当日。
巨大タンカーを先導する海上保安庁の巡視船に「もっと早く漕いでください」と、
やんわりとした口調だけど断固として急かされたり、
高速でぶっ飛ばす水中翼船に汽笛をならされたり。
少し無謀だったなあ、と思う。

オリーブの取材が終わり、帰りの船まで1時間半ほど時間があった。
「そうだ、あの日テントを張った砂浜へ行ってみよう」
小豆島へカヤックで渡った日のねぐらへ。

静かで寂れた漁村も、石積みの小さな港も、磯舟の数も(数隻しかない)、
そのとなりの砂浜も、そして海へと傾きながら落ちていく夕日も、
20年前と変わらないような気がした。

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変わったのは自分だ。
あの日のように、混雑する船舶航路を横断してまで瀬戸内海をカヤック旅しようとは、
今は思わない。
あんなくそ暑い真夏に、シーカヤックでキャンプツーリングしようとは思わない。
チリチリに焼かれた砂浜に立てたテントの中は、できの悪いサウナだった。
なぜあんな旅をしようと思ったのか、今の僕には理解できない。

しかし、変わってないのかも、とも思う。
フリーの文筆&写真家という不安定な仕事に、ずっとかじりついている今の自分のことを、20年後の僕は「理解できない」のではないか。

はだしになり、波打ち際の湿った砂の上を歩きながら、
あの夜、満潮でテントが水没したことを思い出した。
少なくとも10年以上忘れていた出来事が、鮮やかに蘇った。
記憶は脳でなく、場所に宿るのかもしれないなどと、
ありもしないことを夢想した。

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